「少欲知足」をポジティブに解釈すると人生の指針となり得る

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「少欲知足」にたどり着いた経緯

長年、いろいろな中小零細企業の経営者を間近に見続ける中で、「幸せな人生とは何か」という素朴な疑問を抱くようになりました。

平均的な会社員の年収の何倍も(時として何十倍も!)収入のある経営者は、世間で言えば「経済的に成功している」方といって差し支えないと思います。
その「経済的に成功した」経営者でも、必ずしも幸福そうに見えないことがあるのです。
(注…あくまでも私の受けた印象です。ご本人に確認したわけではありません。)

従業員に対する不満だったり、資金繰りの心配だったり、自社の業績や業種・業界の将来への不安だったり…、成功の裏側には実は常に強いストレスが存在する、というのはよくあることです。
あるいは、その見返りとして高額な報酬を得ているのかもしれません。
でもそれって私のイメージする「幸せな人生」というのとは少し違う気がします。

 「経済的な成功」と「幸せな人生」は必ずしも一致しない

これが私の率直な所感です。

では、「幸せな人生」とは何か。
これはもう十人十色、千差万別。それぞれの価値観によって何を幸福と感じるかは異なるので一概には言えませんが、あえていうなら私は「心が平穏な状態でいられること」だと思います。
そして、心が平穏でいられるための基本的な考え方(思考法・マインド)として、「少欲知足」をベースにしたら良いのではないかと思い至るようになりました。

「少欲知足」をポジティブに解釈する

「少欲知足」の一般的な解釈は、「わずかな欲望で、十分満ち足りていること。少ないものでも、それ以上を望まず、満足すること。」(goo辞典より)という感じですが、
「わずかな欲望」とか「それ以上望まない」という後ろ向きなニュアンスではなく、私はもっとポジティブに解釈しています。

少欲知足を私なりにポジティブに解釈すると、

「何事も欲張り過ぎず、いまあるものに感謝する」

という感じになります。
似ていますが、違います。

違う点(一般的な解釈 ↔︎ ポジティブな解釈)
・少欲…欲望はわずか、それ以上望まない ↔︎ 欲望は過剰でなければあって良い
・知足…現状に十分満足する ↔︎ いまあるものに感謝する

人の欲望には切りがなく、もっと良いものを、もっと多くのものを求め、それを手に入れても次の瞬間には「もっともっと」…の無限ループが続きます。

もちろん「もっともっと」の欲望をアクセルとして上手く使いこなすことで、素晴らしい成果につなげられる良い面もあります。
でも、なかには、「もっともっと」が暴走しているだけで、結果的に欲望に振り回され満たされない人生を歩むだけの場合もあり得ます。
流行や広告に煽られて買ってはみたものの、その商品は果たして自分が本当に欲しかったのだろうか…という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

「もっともっと」のループから抜け出す

そこで、「もっともっと」の無限ループから抜け出す別の考え方を持っておく必要があるのです。
これはどっちが良いとか悪いとかの話ではなく、両方とも使えるようにしておいて、適宜切り替えて対処できると良いのではないかという話です。
車でいえば、アクセルとブレーキの両方とも適切に使いこなしましょう、と言っているだけのこと。
ただ、人間の(生き物のと言ってもいいかもしれませんが)本性は、やはり「もっともっと」が基本でしょうから、それに相反することは意識的にやらないとなかなか自然には身につかないものと思います。

思うに、心のコントロールは本来誰にでも可能。
特にお金がかかるわけでもなく、やろうと思えば待ち時間なしで今この瞬間からできます。
でもそれが不得意な人も結構いるみたいです。
思考のクセというか。
実際には考え方だけで心の平穏を保てる人はごく少数。
ゆえに、多くの方の場合、なるべく心が平穏でいられるには、考え方(心、マインド、思考法)以外の要素も組み合わせることが重要となります。

心の平穏を保つための3つの要素

心の平穏を保つための3つの要素とは

・経済的要素…お金の不安を少なくする
・身体的要素…健康の維持増進
・社会的要素…家族を含む人間関係を豊かにする

建物でいえば、3本の柱(要素)の上に乗った屋根部分が「心の平穏」です。
柱を立てる地盤がマインド(心、考え方、思考法)で、これがしっかりしてないと柱(とその上の屋根)が不安定化します。
これらがバランス良く安定して築けるほど心の平穏が保たれ、幸福な人生を歩めるのではないでしょうか。
(注…私が「そう思う」というだけで、それ以外にも幸せの形というのは人の数だけあると思います。便宜上、3つの柱ですが、人によってその種類は違ったり、本数が違ったりすると思います。)

上記の柱のどれか一つだけで「一点突破」的に幸福な人生を送れる人も中にはおられると思いますが、平凡な普通の人間(私のことです)がアプローチする方法としては、複数の柱を組み合わせて「合わせて一本」的に幸福な人生を目指すやり方が最も分が良いのではと思っております。

「ないもの」にフォーカスすると幸福は遠のき、「あるもの」にフォーカスすると幸福は近づく

ただし、誤解を恐れずに言えば、どんなに太く立派な柱を手に入れても、「ないもの」ばかりにフォーカスしている限り、幸福は遠のくばかりです。
逆に、たとえ細く頼りない柱しかなくても、「あるもの」にフォーカスできれば幸福に近づいていけると思います。
もちろん、柱は細いよりも太い方がいいに決まっていますし、1本よりも2本、2本よりも3本ある方がいいに決まっています。
でも、一番のポイントは、そもそもそれらの柱が立脚する土台がどうなっているか、です。

そんなわけで、「少欲知足」はどこにでもいる普通の人間が幸福な人生を歩むための土台(指針)となり得ると思うのです。

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