この記事では、平均年収と自分の年収とをどのように比較したら良いか、についてまとめています。
結論から言うと、「性別・年齢・業種…」といった各種条件をそろえてから年収を比較するのがオススメです。
なお、この記事は「令和3年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告- 令和4年9月 国税庁長官官房企画課」を参考にして作成しました。
正確に言うと、この統計は「個人の所得全体を示したものではない」らしいのですが、だいたいの傾向は分かると思って参考にしています。
令和3年分の平均給与は443万円
とりあえず全部ごちゃ混ぜにすると、令和3年分の平均給与は443万円です。
でも、その数字にはどんな意味があるのでしょうか。
例えば、年収500万円の人がいたとして、平均の443万円より多いから「自分は平均以上だ!」と素直に思えるでしょうか、という話です。
いろいろな条件を一切考慮せずに、いきなり平均給与443万円と自分の年収を比べても、あまり意味があるとは思えません。
その理由は、本人の属性によって基準とすべき平均が全然変わってくるからです。
男性の平均は545万円、女性の平均は302万円
例えば、男性の平均は545万円、女性の平均は302万円です。
本人の性別が男性か女性かの違いだけで、平均が243万円も変わってしまいます。
ということは、性別を考慮して比較した方がフェアですよね。
正社員の平均は508万円、正社員以外(パート・アルバイト)の平均は198万円
正社員か正社員以外(パート・アルバイト)かの違いでも、平均は310万円も変わります。
だから、正社員かどうかも考慮して比較すべきでしょうね。
上記を踏まえると、男性の正社員で年収443万円の人と、女性のアルバイトで年収443万円の人は、同じ年収443万円でも「全然違う」と言えると思います。
というか、女性・アルバイトで443万円という人は滅多にいない気がします。
もしいたらかなりスゴい!
平均給与443万円は何と比較するときに意味を持つか
それでは、平均給与443万円は何と比較するときに意味を持つでしょうか。
おそらく、過去と現在の比較や時系列で見たときの推移において意味を持つと思います。
ちなみに、30年前、20年前、直近10年間の過去の平均給与は、以下の通りです。
年分 | 平均給与 | 備考 |
平成3年 | 4,466千円 | 30年前 |
平成13年 | 4,540千円 | 20年前 |
平成23年 | 4,090千円 | 10年前 |
平成24年 | 4,080千円 | |
平成25年 | 4,136千円 | |
平成26年 | 4,150千円 | |
平成27年 | 4,204千円 | |
平成28年 | 4,216千円 | |
平成29年 | 4,322千円 | |
平成30年 | 4,407千円 | |
令和元年 | 4,364千円 | |
令和2年 | 4,331千円 | |
令和3年 | 4,433千円 | ←NEW! |
ここ数年、最低賃金を毎年上げているせいか、平均給与はじわじわ上がってきている気もしますが、インフレなどを考慮すると実際はどうでしょうか。
それにしても、30年前と比べてあまり変わっていないという謎の現象。
未来のことについて確定的なことは言えませんが、なぜでしょう、今後も給与が上がる気が全然しない…。ああ。
平均給与の最も高い業種は766万円、最も低い業種は260万円
業種によって、かなり平均が違います。
どれくらい違うかと言うと、業種が違うだけで、平均が500万円以上違うこともあり得ます。
ちょっとびっくりしますね。
平均給与の高い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業や金融業、保険業など
平均給与の高い業種は、例えば次の3つです。
業種 | 平均給与 | 備考 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 766万円 | ←最も高い |
金融業、保険業 | 677万円 | |
情報通信業 | 624万円 |
インフラ系は平均給与が高いのですね。
知らなかったです。
平均給与の低い業種は、宿泊業、飲食サービス業や農林水産・鉱業など
平均給与の低い業種は、例えば次の4つです。
業種 | 平均給与 | 備考 |
卸売業、小売業 | 377万円 | |
サービス業 | 369万円 | |
農林水産・鉱業 | 310万円 | |
宿泊業、飲食サービス業 | 260万円 | ←最も低い |
もしかしたら、パートやアルバイトに頼る構造の業種だと平均が低くなりがちなのかも知れないですね。
知らんけど。
年齢階層別の平均給与は男/女で傾向が異なる
年齢階層別の平均給与は男/女で傾向が異なります。
男性の年齢階層別の平均給与は、上り坂のち崖
男の人は年齢によって、かなり平均が違います。
59歳までは段々と上がっていって、60歳を過ぎると急激に落ちます。
年齢 | 平均給与 | 備考 |
19以下 | 152万円 | |
20~24 | 287万円 | |
25~29 | 404万円 | |
30~34 | 472万円 | |
35~39 | 533万円 | |
40~44 | 584万円 | |
45~49 | 630万円 | |
50~54 | 664万円 | |
55~59 | 687万円 | ←最も高い |
60~64 | 537万円 | |
65~69 | 423万円 | |
70以上 | 369万円 | |
全体平均 | 545万円 |
男性の場合、本人の年齢を考慮して比較すべきでしょうね。
女性の年齢階層別の平均給与は、見渡す限りの地平線
一方で、女の人は年齢による違いがあまりありません。
良くも悪くも、ほぼ一定。
年齢 | 平均給与 | 備考 |
19以下 | 113万円 | |
20~24 | 249万円 | |
25~29 | 328万円 | ほぼ一定 |
30~34 | 322万円 | ほぼ一定 |
35~39 | 321万円 | ほぼ一定 |
40~44 | 324万円 | ほぼ一定 |
45~49 | 328万円 | ほぼ一定 |
50~54 | 328万円 | ほぼ一定 |
55~59 | 316万円 | ほぼ一定 |
60~64 | 262万円 | |
65~69 | 216万円 | |
70以上 | 210万円 | |
全体平均 | 302万円 |
女性の場合、本人の年齢はそこまで重視せずに比較して良さそうですね。
それにしても、男/女のこの差は何なんでしょうね。
給与階級別分布における真ん中の年収
給与階級別分布をもし上・中・下の3段階に分けるとすると、上位33.3%と下位33.3%を除いた残りの33.3%が中位、つまり「真ん中」と言えるのではないでしょうか。
男性の給与階級別構成割合から見た真ん中は、年収400万円超〜600万円以下
区分 | 階級 | 割合 | 備考 |
上位 | 600万円超〜2,500万円超 | 31.2% | |
中位 | 400万円超〜600万円以下 | 31.3% | ←真ん中 |
下位 | 100万円以下〜400万円以下 | 37.6% |
ちなみに、合計が100%になっていないのは端数処理の関係かと思われます。
以下同じ。
女性の給与階級別構成割合から見た真ん中は、年収200万円超〜400万円以下
区分 | 階級 | 割合 | 備考 |
上位 | 400万円超〜2,500万円超 | 24.4% | |
中位 | 200万円超〜400万円以下 | 38.9% | ←真ん中 |
下位 | 100万円以下〜200万円以下 | 36.8% |
女性はパートやアルバイトが多いのかも知れませんが、男/女の真ん中の格差が1.5倍から2倍あるというのは、なぜでしょうか。
誰にでも得手不得手はあるにしろ、性別に関わらず、人間の能力にそこまで差があるとは私にはとても思えないです。
業種別の給与階級別分布は、見ない方がいいかも
業種別の給与階級別分布はなかなか衝撃的なグラフなので、人によっては見ない方が「心の平穏」を保つためにはいいかもしれません。
なるべくサラッと紹介しますと、業種によって多数派となる給与水準がかなり異なります。
具体的な例を挙げると、
「電気・ガス・熱供給・水道業」の場合、66.0%は600万円超(しかも、そのうちの41.7%は800万円超)なのに対して、300万円以下は5.4%だけです。
「宿泊業、飲食サービス業」の場合、66.6%の人が300万円以下なのに対して、600万円超の人は5.5%(うち、800万円超は1.9%)だけです。
業種を選択した時点で、ある程度の年収の相場のようなものは決まってしまうのかも知れませんね。
就職活動する時に、私はそこまで気にしてなかったですよ…。
まあ、今さらもう遅いですが。
各種条件をそろえた上で平均給与とくらべよう
ここまで見てきてお分かりのように、性別、年齢、業種などによって平均給与は大きく変わります。
だから、各種条件をそろえてから平均給与と自分の給与をくらべるのがフェアな比較でしょう。
まるでボクシングにおける体重別の階級みたいに。
異なる性別、異なる年齢、異なる業種を同列に比較しても、無駄な優越感や無駄な劣等感しか生み出されないように思います。
ちなみに、この統計データは民間給与に限定されているので、例えば、公務員や個人事業主などはまた別の話になります。
一応、お含みおきください。
余談ですが、平均給与が「低くなる要素」を持つ人が収入をアップさせる方法
本人の努力や能力とは関係なく、そもそも年収が上がりにくい要素を持つ人は存在します。
例えば、女性であったり、若年者であったり、宿泊業や飲食サービス業に従事されている方などは、平均給与が低くなりがちです。
もちろん、常に例外は存在しますが、一般論として。
もし、そのような方たちが自分の年収をアップさせたいと思っても、諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、採れる方法はあります。
- 転職して、平均給与が今より高い業種へ移動する
- 副業、副収入など、「本業の給与以外の収入」を得られるようにする
この2つがオススメです。
転職して、平均給与が今より高い業種へ移動する
現在の勤務先に不満や不安がある方は、「転職する」という選択肢を検討されるとよろしいかと思います。
ただし、年齢を重ねるにつれて転職が難しくなっていくようなので、ある程度の若年者に限られるかも。
最近の急激な円安が今後もしばらく続くようなら、職業によっては海外に出稼ぎに行くのも一つの選択肢かも知れませんね。
副業、副収入など、「給与以外の収入」を得られるようにする
現在の仕事にやりがいを感じていたり、大きな不満が特にない方は、本業を続けながら、並行して無理なくできる「副業」や「副収入」を得られる方法に挑戦してみるのがよろしいかと思います。
転職が難しい方でも、副業や副収入ならば比較的ハードルは低いのではないでしょうか。
また、2人以上の世帯の場合は、別解として、
- 共働きによる世帯年収のアップ
というのもありだと思います。
自分という人的資本からどれくらいのリターン(給与)が見込めるか、平均を把握しておこう
現預金などの金融資本を、銀行の定期預金、債権市場、株式市場…、どの金融市場へ投じるかによって、得られるリターン(利回り)の平均的な期待値は異なりますし、ある程度の相場は決まってきます。
それと同様に、自分という人的資本を、電気業、製造業、飲食サービス業…、どの労働市場に投じるかによって、得られるリターン(給与)の平均的な期待値は大きく異なるであろうことが、統計結果から推測できます。
他人の年収(平均年収)を気にしたところで自分の年収は1円たりとも増えません。
けれども、世間一般から見て自分が大体どのあたりの位置にいるかや、この先どの程度のところまで行けそうかについて知っておくことは、わりと重要なことだと思います。
自分という人的資本からどれくらいのリターン(給与)が見込めるか、だいたいでいいので平均を把握しておきましょう。
そもそも、年収が多いからといって幸福な人生が送れるという保証はありませんが、人生というゲームにおいては、年収が多い方がいろいろと課金できて有利にプレイしやすいのは確かだと思います。
平均年収と自分の年収とを比べて、もし結果に不満があれば、今後の戦略を考え直してみることをオススメいたします。
