高配当株投資を始めて、早いもので1年半以上経つ。
これまでの経緯を振り返るとともに、この先にあると感じる可能性について記してみる。
高配当株投資に至る経緯
当時の私は、目的の住宅ローンも無事借りることができたので、金融資産をネット銀行の定期預金に集中させていることの意味が薄れ、一部をもっと利回りの良い対象に充ててもいいのではないかと思うようになっていた。
当初は、地元の信用金庫に出資すると2〜3%の配当金が期待できたので、とりあえず100万円くらい信金へ出資しようかと勝手に思っていた。
しかし、いざ手続きのため近隣の店舗へ行くと、出資の上限は10万円までと言われたり、融資とセットでないと基本的に出資はできない等、いろいろ面倒なことを言われたので方針を変え、上場株式の配当金を検討するようになった。
Yahoo!ファイナンスなどで調べると、名前の聞いたことのある有名企業でも配当利回りが3%以上ある、いわゆる「高配当株」が結構たくさんあることがわかった。
私の雑な計算では、例えば配当利回り5%の銘柄を10年間保有した場合、10年後の株価が半分以下になっていなければトータルでプラスと言えるのではないか、と考えた。
税引き後で5%というのは、いま思うとかなり欲張りだと感じるが…。
有名企業が10年後に半値以下になる可能性は滅多にないとは思うが、例えば東京電力のように想像もできないような重大事故が起きたり、東芝のように粉飾決算が判明する事態などもゼロとは言えないので、投資対象の銘柄はなるべく分散させることが肝要となる。
ちなみに、私の場合は、日本の個別株・約30社くらいに分散させております。
投資に関する書籍やブログを読むと、日本(円)と米国(ドル)に分けると良いとか、株式と債権に分けると良いとされることが多いようです。
そういう意味では、分散が不十分である可能性は否めませんが、キャッシュポジションで取れるリスクを調整すれば、結局は同じ事じゃないかなと思っております。その方がよりシンプルですし。
米国株や海外ETFも確かに魅力的ですが、為替変動リスクへの考え方が自分の中で整理できないうちは、たぶん手を出さない気がします。
1年後の株価は当てられないが、1年後の配当金は当てられる
株式投資というと、まるでギャンブルや博打のように「危ない」目で見られることがあるので、周囲の人にはほとんど言っていない。
最近は、NISAやiDeCoなどの普及のせいか、投資に対する理解も徐々に広がってきているような気もするが、それでもまだまだ「投資をしている」とは公言しにくい空気を強く感じる。
それはきっと、キャピタルゲイン(株式の売買による利益)を目的とした投資を暗黙の前提にしているからだと思うが、高配当株投資はインカムゲイン(配当金収入のような保有による利益)を目的としているので、私はそこまで「危ない」とは思わない。
ある銘柄の1年後の「株価」を当てるのはプロでも至難の業だが、ある銘柄の1年後の「配当金」は私のような凡人でも結構な確率で当てられる。(もちろん外れる時もあるが…)
理由は単純で、多くの企業ではIR情報を公表しており、1年後の配当金の見込額が記載されていたりするからだ。
なかには、今後3年先まで配当計画を明らかにしている企業もあったり、逆に、配当計画を一切公表していない企業もあったり、色々だ。
私自身、いまのところ当初見込んでいた金額の配当金を実際に受け取ることができているので、比較的計画の立てやすい投資と言える。
もちろん、全くリスクがないわけではない。
相応のリスクは当然ある。
極端な例を挙げるのは気が引けるが、例えば、東京電力は、2007年2月に4,530円だった株価が→10年後の2017年12月には446円(約90%減)&現在に至るまで無配に、東芝は、2007年7月に11,850円だった株価が→10年後の2017年7月には2,460円(約80%減)&2~3年間無配になったようです。まったく、何ということでしょう。くわばらくわばら。
高配当株投資は維持管理に手間がかからない
キャピタルゲイン(売却益)を狙う場合、買うタイミングも大事だし、売るタイミングもよく考えないといけない。
よく考えた上で売買したとしても、もっと上がってから売ればよかったとか、下がる前にさっさと売っておけばよかったなど、常に後悔がつきまとうので、心の平穏にはマイナスだ。
一方で、インカムゲイン(配当金)を狙う場合、一度買えばあとは保有し続けるだけで済む。
配当金はその時期が来れば、自動的に受け取ることができるので、利益確定のための手間や葛藤がない。
また、基本的に売らない(保有し続ける)戦略のため、短期的な株価の上げ下げにいちいち関心を払う必要がない。
だから、ポートフォリオの構築まではまあまあ面倒くさいが、一度作り上げてしまえば維持管理はさほど手間がかからない。
「手間がかからない」というのは、仕事に家庭に忙しい人間にとって大変ありがたいことだ。
そして、これらは心の平穏に対してプラスに働く。
難があるとすれば、配当の都度課税されるため、投資効率は決して良くはないことだが、そこまで求めるのはさすがに欲張り過ぎだろう…。
月3万円の配当金、ありがたいと思うか、これっぽっちと思うか
高配当株投資にはキャッシュフローを改善する一定の効果がある。
会社員のうち、多くの方は会社からの給与が唯一の収入だと思うが、配当金は第二の収入となり得る。
金額の多寡は一旦脇に置いておくとして、ただ単に「保有しているだけ」で定期的に金銭が受け取れるというのは嬉しいものだ。
寝ている間にも、家族や友人との時間を過ごしている間にも、本業に勤しんでいる間にも関係なく、自動的に入金されるのだ。
ただし、ある程度まとまった金額の配当金をもらいたいならば、それなりの金額の投資元本が必要となる。
私の場合、2022年中の税引き後の受取配当金は、月平均で約3万円を見込んでいる。(確定するまでまだ残り何か月かあるので、違ってたら後日訂正します)
特に何に使うという訳ではないが、旅行や高額家電の購入や予定外の支出があっても、気持ちの面で余裕ができるので、大変ありがたく思っている。
しかし、人によっては「たった3万円か…」と思うかもしれない。
リスクをそこそこ抑えているゆえ、リターンも地味だ。
もっと短期間でもっと派手なリターンを求める人には、ぜひ別の方法を検討していただきたい。
でも、くれぐれもギャンブルや博打のような「危ない」ものには注意してくださいね。
この先にあると感じる可能性
高配当株投資は要するに入金力がものをいう世界なので、本業(や副業)を今まで以上に頑張って余資を貯め、地道に積み上げていくことで、月平均3万円の配当金を、4万円、5万円…と増やしていけるのではないかと思っている。
この先、高配当株投資をより一層強化していくと、次のような可能性が見えてくる。
・日々の生活の安定感が増す可能性
・教育資金を捻出するサブの収入となる可能性
・老後資金の不足分を補うサブの収入となる可能性
日々の生活の安定感が増す可能性
配当金という副収入(複収入)があると、思いがけない出費もダメージが軽減される。
会社員にとっての給与や賞与といった「メイン収入」が業績悪化などを理由に減少した場合でも、日々の生活費を補填するサブの収入となる。
勤務先が運悪く倒産したり、自身が病気やケガにより離職せざるを得なくなった場合でも、「まったく収入が無い」のと「少しでも収入がある」のでは気持ちも違うと思う。
収入を会社に100%依存する人は長時間労働や多少の悪条件でも受け入れがちだが、依存度を下げることにより残業の削減が可能になりプライベート時間も確保し易くなる。
平時においては、住宅ローン返済原資や貯蓄・投資の原資として活用できる。
教育資金を捻出するサブの収入となる可能性
私の今後のライフプランにおいて、最もキャッシュフローに苦慮することが予想されるのが教育資金だ。
なかでも、子の大学進学時に待っているであろう多額の支出をどのように賄うかが一番の課題である。
今から少しずつ積み立てていくのが王道ではあるが、配当金収入が順調に育っていけば、教育資金を捻出する一助となるかもしれない。
老後資金の不足分を補うサブの収入となる可能性
将来、公的年金だけで生活はできるかというと、所得代替率が10%程度下がることが予定されていることもあり、貯蓄なり他の収入で補わないと厳しいことが見込まれる。
貯蓄の場合、何歳まで生きるかによって必要な金額が大きく変わるがそんなの誰にも分からないし、毎年減っていく貯蓄額を眺めながら生きていくのは心の平穏的にはマイナスに思える。
仮に100歳まで生きようが、保有し続ける限り受け取れるという意味では、「自分年金」のようなものなので、長生きリスクへの切り札となると思う。
また、配当金収入は保有者本人の勤労とは無関係なので、老後のサブの収入には向いているのではないか。
あるいは、毎年、夫婦で旅行や観劇などへ気兼ねなく行くために充てることもできる。
一切働かずに配当金だけで暮らす「夢の配当金生活」がしたければ、たぶん億近い投資元本が必要となるので、さすがにそれは現実的でないと言わざるを得ないが、メインの収入がある普通の人にとっての「サブの収入」としての位置付けならば十分期待に応えてくれる気がする。
金銭的なゆとりは、総じて、精神的なゆとりに通じる。
高配当株投資により、心の平穏が長期間に渡って下支えされ続ける可能性を私は感じております。